書評: ビジュアル・コンプレキシティ ―情報パターンのマッピング を読んだ
概要
まず、技術者でなくともアートブックとして、とても美しい本です。そして、アートブックと考えると 272P というボリュームで ¥3,990 は安いですね。素晴らしい。
ビジュアライゼーションの歴史についてのテキストと、ビジュアライゼーションを集めたサイト VisualComplexity.com の数多くの事例がパターン別にまとめられています。 サイトのリンクを辿るとリンク切れになってしまっているサイトもあるので、アーカイブとして貴重な本です。
ほとんど図版集なのかなーと思って買いましたが、文章ボリュームもしっかりしている教科書のような本です。じっくり読むとかなり時間がかかりそう。
本書の概要を知りたいようであれば WIRED での以下連載を読むと本書の伝えたいことがよくまとまっています。この記事の内容について、もっと深く知りたい、と思った方が読む本だと感じました。
5回連続講義:『ビジュアル・コンプレキシティ』を読む──データ・ヴィジュアライゼーション講座【1】 http://wired.jp/2012/05/21/visual-complexity-1/6/
事例がどんな感じで掲載されているかは、Amazonの参考画像を見るとよかです。
- 作者: マニュエル・リマ,Manuel Lima,久保田晃弘,奥いずみ
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: 単行本
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ちなみに原書は以下の Visual Complexity: Mapping Patterns of Information です。
Visual Complexity: Mapping Patterns of Information
- 作者: Manuel Lima
- 出版社/メーカー: Princeton Architectural Press
- 発売日: 2011/08/17
- メディア: ハードカバー
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どんなことができるようになるか
技術書ですが、コードはひとつも無い本なので、すぐに何か書けるようになるわけではありません。
目次
- 01 | The Tree of Life 生命の樹
- 02 | From Trees to Networks ツリーからネットワークへ
- 03 | Decoding Networks ネットワークの解読
- 04 | Infinite Interconnectedness 無限の相互接続性
- 05 | The Syntax of a New Language 新しいビジュアル言語の構文
- 06 | Complex Beauty 複雑性の美
- 07 | Looking Ahead 未来の行方
chapter 1, 2, 3 はビジュアライゼーションの歴史についての記述で、本書の30%程度。chapter 4, 5 が事例集で、この本の60%ほどを締めています。図版集としての価値が高い本なので、この本であらゆる作品のインデックスをざっくり頭に入れて、他の本と組み合わせて読むと良さそうです。
所感:
DevLOVE.Visualization#02 「ビジュアルコンプレキシティ -The Power of Visualization-」 http://devlove.doorkeeper.jp/events/7808
に行こうとしたら、定員が埋まっていて泣けたので、 (2014/1/14追記: 募集前やった!!w) 憂さ晴らしに4冊くらい合わせてパーッっとビジュアライゼーション系の本を買ったぜシリーズです!
ビジュアライゼーションの歴史についての、ツリー型の情報構造からリゾーム型の情報構造へパラダイムシフトが起こっているかもしれないことや、旧来の図書館学(DDCなど)についてはよい勉強になりました。また、ウィラード・ブリントンのネットワーク・ビジュアライゼーションの原則まわりの記述は、これからも参考にして行けそうです。とりあえず、美しいものをたまに眺めて、目の保養にします。