君たちは永遠にそいつらより若い

技術と音楽と日々のこと。

Google said 'If users can’t spell, it’s our problem.'



先週末、 Tuyên に誘われて、日曜にSAIGON TECH STARTUP FESTに寄ってきた。カンファレンス3個くらい聴いて、いつもどおり MY SQUAR の Nicolas に声掛けて、すぐ帰った。どのTECHイベントに行っても、本当にいつでもどこでも Nicolas がいる。

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今回の登壇者は、ベトナミーズイングリッシュではなかったので、聞き取りやすくて、寝ずに済んだ。

Google said 'If users can’t spell, it’s our problem.'

さて本題。Google の Head of Marketing Vietnam の Anh Nguyễn さんのお話の中の Google の信念が心に響いたので、メモ。

If users can’t spell, it’s our problem.
If they don’t know how to form the query, it’s our problem.
Even if there’s not enough content, it’s our problem.
If content is there but in a different language they don’t speak, it’s our problem.
Even if the web is too slow, it’s our problem.

もし、ユーザが言葉を正しく綴れないなら、それは僕たちの問題だ。
もし、ユーザがクエリでの検索がうまくできないなら、それは僕たちの問題だ。
もし、検索した先のページにユーザの探したい情報がない場合でも、それは僕たちの問題だ。
やっと見つけた情報が、ユーザの読めない言葉であっても、それは僕たちの問題だ。
たとえ、WEBがとても遅かったとしても、それは僕たちの問題なんだ。
※日本語は僕の超意訳

2009年くらいから色々なところで話されてるから、パターンも色々あるみたい。もし、それがユーザが「問題として認識していない問題」であっても、僕たちにとってはそれは解決すべき問題である。表面的な解決ではなく、潜在的な問題をも救い上げる、好きな考え方だ。

ユーザが「問題として認識していない問題」

情報検索時には、ユーザが「問題として認識していない問題」を抱えることがある。これについては、R. S. Taylor による情報要求のレベルに当てはめると、その段階を把握しやすくなる。

R. S. Taylor による情報要求のレベル

  • 直感的要求 (visceral need)
    • 現状に満足していないことは認識しているが、それを具体的に言語化してうまく説明できない状態
  • 意識された要求 (conscious need)
    • 頭の中では問題を整理できるが、あいまいな表現やまとまりのない表現でしか言語化できない状態
  • 形式化された要求 (formalized need)
    • 問題を具体的な言語表現で言語化できる状態
  • 調整済みの要求 (compromised need)
    • 問題を解決するために必要な情報の情報源が同定できるくらい問題が具体化された状態

※以下書籍から引用

情報検索と言語処理 (言語と計算)

情報検索と言語処理 (言語と計算)

上に引用した R. S. Taylor の情報要求(information need)のレベルにあるように、Googleでクエリを入力して検索できる状態のユーザは、形式化された要求 (formalized need)若しくは調整済みの要求 (compromised need)を持っている状態と言える。しかし、クエリを入力して検索できないユーザは、意識された要求 (conscious need)や直感的要求 (visceral need)のレベルにいる。直感的要求 (visceral need)のレベルのユーザは、問題を問題として認識することさえできていない。しかし、Googleは彼らを救いたいと願う。

有名な「世界中の情報を体系化し、ユーザに適切に届ける」と言うフレーズで切り落とされてしまった心の部分を、感覚的にわかりやすい言葉に紡いだものが、件の言葉であると、僕は解釈している。この言葉がスクリーンに表示された時、会場では憧れのような眼差しと共に、いたるところでシャッターが切られた。僕は、こういった人の心が動く瞬間に立ち会うとき、いつも感動を覚える。


ちなみに、こちらのイベントの主催者は、 GetLinks というアジア向けの求人サイトだった。CyberAgent Ventures や 500 Startupsから出資を受けてるバンコクのスタートアップ。

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(アジア向けのサービスのくせに、なんでサラリー表示に通貨単位をつけないんだろうね…バーツなのか、VNドンなのか、USドルなのかわかんなかった…

はい、今日も僕は元気です。